プロ声楽家がオススメするオペラ歌手〜バリトン編〜
船橋市の総合音楽教室、スカイワードミュージックスクールでヴォーカル・幼児音楽コースの主任講師を担当させて頂いている、声楽家の新村まどかです。
今回は、オススメの歌手、バリトン編をお送りいたします。
エットーレ・バスティアニーニ(1922〜1967)
最初に紹介する歌手は、私が今まで聴いた全歌手の中で一番衝撃を受けた声の持ち主であるエットーレ・バスティアニーニです。
彼はイタリアのシエナ出身。
ブロンズのような複雑な輝きを持った重量のある声は主役にしかなり得ない程のスター性があり、特にヴェルディのオペラで活躍しました。しかし咽頭癌の為、44才の若さで亡くなってしまいました。
(参考動画:オペラ「仮面舞踏会」より「お前こそ心を汚すもの」)
スウェーデン国王グスタフ3世が仮面舞踏会で暗殺された実話をベースに、イギリス支配下の17世紀のアメリカ・ボストンに舞台を移した物語。
このアリアは、親友が自分の妻と浮気をしていたと思い込んで歌われ、ヴェルディの魅力がたっぷり詰まったドラマチックなアリアとなっている。
ティート・ゴッビ(1913〜1984)
イタリアのヴェネト出身。
オペラ黄金期の名だたる歌手たちの中でも特に演技派として知られ、マリア・カラスと共演した「トスカ」の悪役・警視総監スカルピア役の貴重な録画では、その演技力の高さを垣間見ることが出来る。
(参考動画:オペラ「トスカ」より、「テ・デウム」)
ローマの歌姫トスカと恋人の画家のカヴァラドッシの悲恋の物語。悪徳警視総監スカルピアが、カヴァラドッシの命と引き換えにトスカを手に入れようと取引を持ちかけるが…
一幕の最後に歌われる合唱付きの壮大なアリア。
ピエロ・カプッチッリ(1929〜2005)
イタリアのトリエステ出身。
驚異的なブレス・コントロール、レガート・テクニックをあわせ持つ。歌声を自在に操り、美しいフレーズと圧倒的なパフォーマンスで観客を熱狂させた。
参考動画:オペラ「イル・トロヴァトーレ」より「君の微笑み」
数々の名アリアが繰り広げられる「イル・トロヴァトーレ」の中で、レオノーラに想いを寄せるルーナ伯爵が歌う有名なアリア。
おわりに
父親役や、恋敵役、悪役など幅広い役を演じることが出来るバリトンの魅力、いかがでしたか?
オペラを観る際には、それぞれの声種が担当する役割を意識しながら鑑賞するのも面白いですよ!
次回はバス編をお送りいたしますので、どうぞお楽しみに。