ゲーテの「野ばら」

今日は有名な「野ばら」という曲を。

1799年に出版された。ゲーテが1771年シュトラースブルク(ストラスブール)に滞在していた時に書かれたもので、en:Friederike Brionという女性に恋をし、その女性に贈られたものである。

“Sah ein Knab’ ein Röslein stehn”(「男の子が野に咲く薔薇を見つけました」といったメタファーを用いた文)で始まる。

という風にwikiには書いてありました。“メタファーを用いた”ってところが今風ですね。日本語らしく書くと擬人法っていうかんじでしょうか?

そうです。野ばら=田舎の娘っていう設定なのです。

なのでこの場合の“Knab”は当然 ”都会のちゃんとした身分の“っていう意味も含んでいます。ひどい身分差別。男女差別ですが、西洋の文明っていうのはほぼこれです。日本人の感覚とは違うのだということをここでも考えておく必要はあると思います。

そして、たまにこの詩のタイトル訳として、「荒れ野のバラ」っていうのがあるのをご存知でしょうか?リフレインの部分(すでに二行目にも出てきます)に Röslein auf der Heidenとあります。このHeidenという言葉には「過去に人の手が入った土地」つまり途中で放棄され荒れ野になってしまった土地という意味があるそうです。ドイツではゲーテの生まれるずっと前に30年戦争という長い長い宗教戦争が続いていましたので、ゲーテの時代になってもまだ、廃墟が各地に残っていたのだなあ~といつも考えています。そんな、昔は高貴な身分の方のお庭だったところに野生化してしまったバラが今も咲いていて、それを見つけた時の“ちょっとした喜び”を素直に感じて歌っていただけたらと思います。

そしてこの詩はとてもヒット作なんです。ざっとわかっているだけでも5人の有名な作曲家の方に曲をつけていただいています。ゲーテの詩にはさらにヒットを飛ばした詩もありますが、その話はまた今度にしましょう。

今日はシューベルト作曲の最も有名なヴァージョンでお楽しみください。

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