こんにちは。船橋市のスカイワードミュージックスクールで、幼児音楽コース/ピアノコースを担当する江口莉永(えぐち りえ)です。今回はわたしの本棚から、『音楽家の名言』を紹介したいと思います。
言葉が与えるパワー
偉人の名言を、自分の座右の銘にされる方はたくさんいらっしゃいますよね。
今回紹介する『音楽家の名言 あなたの演奏を変える127のメッセージ』(ヤマハミュージックメディア)は、タイトルの通り、音楽家の名言がたくさん集まった本で、過去から現代の音楽家が幅広く取り上げられています。何年も前に出会った本なのですが、いまだにパラパラとめくっては気分転換しています。
この中からいくつか名言を紹介したいと思ったのですが(どれも好きな言葉なのでピックアップに迷いました)、わたしが特にいま心に刺さっているこちらの言葉を選んでみました。
ピアノの前に座り、名作を弾いてみることは喜びであり、
それがフィンガリングやペダリング、タッチ、ダイナミックスなどの
細部にわたる勉強に結びついてはじめて、それは研究といえるものになる。
音楽の勉強とはその研究のことである。
――イグナツィ・パデレフスキ(ポーランドの作曲家兼ピアニスト/政治家)
音楽ができる幸せをあらためて噛み締めさせられますし、同時にピアノに向かう覚悟を試すようにどっしりと響く言葉でもあります。
クリーム色の表紙でおなじみ!パデレフスキ監修のショパン楽譜(パデレフスキ版)
スランプ期に先生から頂いた思い出の一冊
実はこの本、ちょっとしたエピソードがあって、わたしが中学生か高校生だったときに、当時のピアノ教室の先生が贈ってくださったのです(確かクリスマスの時期でしたので、きれいな包装紙でラッピングしてくださったのを覚えています)。
当時わたしは、ちょうどスランプに陥っていました(ベートーヴェンのソナタをしゃかりきに練習していた記憶だけあるのですが…)。身体のコントロールがうまくきかず、ただ疲労ばかりが溜まっていた気がします。悪循環な練習をやっていたのだろうな、と思います。
ついには練習する気もレッスンに行く気もなくなってしまい、適当な理由をつけて2週間くらいレッスンをお休みしたでしょうか(…先生、あの時は本当にごめんなさい)。とはいえ休み続けてもいられないので、やっとレッスンに顔を出したときに先生がこの本をプレゼントしてくださったのです。
音楽と向き合う喜び、そして敬意
がむしゃらにやっていると、目の前の大事なものや本質が見えなくなることがあります。自分を俯瞰できず苦しみ、さらに追いつめてしまうこともありますが、音楽家たちの言葉のエッセンスに触れると、不思議と穏やかな気持ちになって、音楽への敬意がより膨らんでいくような感覚を覚えます。心が軽くなった当時の想いが、今でも鮮明によみがえります。
これが一番!と決められないくらい好きな言葉がたくさんあって、ページをめくるたび、そのときの気分によって違います(笑)受け手の心がコロコロ変わっていくからだと思いますが、以前は読み取れなかったこと、ピンとこなかった言葉も、音楽を続けているとふとメッセージの意味が分かる瞬間があるのです。
最後までお読みいただきありがとうございます。皆さんも、ターニングポイントになった言葉はありますか?
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