音源のイメージで演奏するとハマる罠

スカイワードミュージックスクールでピアノコース主任を務める、ピアニストの石川朋子です。

ピアノコースに通うFさんは、現在ベートーヴェンの「悲愴」第三楽章を勉強中。

ある日のレッスンでの演奏を聴いた時に、なぜかテンポがバラバラだったり色んな部分がつぎはぎのように感じられました。疑問に思い理由を尋ねたところ、「プロのピアニストが弾いた音源を聴いて、そのイメージで弾いてみた」とのこと。

それを聞いて、音源を参考にする際にの罠にハマったんだなと合点がいきました。

プロの演奏から学べるものは多いのですが、聴いたイメージのまま弾いてしまうと問題が起こります。

それは音楽が妄想になってしまうということ。演奏中に、自分の頭の中ではプロの演奏が鳴っていても、実は自分の出している音は全くそれとかけ離れているという事態に陥ることがあるのです。

 

これについては、私自身も苦い経験があります。昔、スクリャービンのソナタを勉強中に、ソフロニツキーという歴史的巨匠の演奏に感化され、自分の演奏が乱れてしまった事があるのです。

自分の頭の中ではソフロニツキーの弾く素晴らしい音楽が鳴っていて、自分もそのイメージのまま弾いている「つもり」でした。が、実際に自分が出していた音楽は、何の表現もしていない、ただ音とリズムを並べただけのもの。つまり、現実の自分の音が正しく聞こえなくなってしまっていたのです。

 

その原因は、プロの演奏や楽譜の裏にある音楽・テクニックなどを全て抜きにして、大ざっぱなイメージとして捉えていたことにあります。

 

私は、音源は譜読みの助けや曲のイメージをつかむ程度に留め、いったんは傍に置いておくのが良いと考えています。

まず必要なのは楽譜とちゃんと向き合うこと。

楽譜に書かれている音楽は

  • どんなメロディ/リズム/ハーモニーで作られた音楽なのか?
  • どんな感情や感覚を相手に感じてもらいたいのか?
  • 余分な力を入れず響いた音で弾けているか?
  • テンポ通りに弾けているか?
  • 言葉のリズムやフレーズからどのような表現に行き着くのか?

などなど、様々なことを考えたうえでイメージを作り、それを表現できているかを都度確認しながら練習していくプロセスが重要なのです。

そして演奏する際には、決して自分のイメージに酔わないこと。自分の音をよく聴いて、つくったイメージと実際鳴っている音楽とのギャップを分析し、ギャップを埋めるために頭も体も冷静にコントロールできるようにならなければいけません。

 

今はYouTubeなどで様々な音楽に気軽に触れることが出来る時代となりました。そんな時代の進化をうまく使いながら、自分の演奏に活かしていきたいですね。

勉強中の曲について、音源のアドバイスが必要でしたらいつでも相談してください!

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