【コンサート鑑賞記】チャイコフスキーコンクール覇者!アレクサンドル・カントロフ ピアノリサイタル@トッパンホール

こんにちは!船橋市のスカイワードミュージックスクールで、幼児音楽コース/ピアノコースを担当する江口莉永(えぐち りえ)です。

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どんなピアニストが好きですか?

皆さんは、どんな演奏を聴かせてくれるピアニストがお好きですか?

気持ちを高めてくれるような爽快な演奏、歌心があって情感いっぱいの演奏などなど。考えてみると色んな奏者が思い浮かびますが、つい先日、どの枠にも当てはまらない稀有なピアニストに出会いました。

一昨年のチャイコフスキー国際コンクール覇者

従来通りのコンサートが増えてまいりました。海外ピアニストの来日も珍しくなくなり、ガマンの時間がそろそろ終わるのかしらと目を細めています(とはいえまだ予断を許しませんが…)。

そんななか、一昨年のチャイコフスキー国際音楽コンクールの覇者!アレクサンドル・カントロフのピアノリサイタルへ(文京区・トッパンホール)。

感想をひとことで言うならば、ひどく、おそれました(怖れ、畏れ…どちらでもある)。

これまで聴いたことのない独特な音。合唱音楽を聴いているような分厚い響きに包まれる感覚。

音色は暗めで、ちょっと不健康ともいえる印象なのですが、そのぶん明るい音が聴こえてくると救われるような安心感がやってきて、心が揺さぶられました(重々しいけれど救われるような音楽、という意味ではロシアの教会合唱と少し似ているかも)。

身体の動きも独特。細身の身体をぐにゃぐにゃ、と思えば力強いバネも感じさせます。

プログラムのなかでいちばん印象的だったF.リスト作曲<ダンテを読んで ーソナタ風幻想曲>は、特に圧倒されました。魔界に連れいかれたような、恐ろしさ…(笑)

なのに演奏後はふつうにペコっと(しかもちょっと恥ずかしそうな感じで控えめに)お辞儀していくのです。そんな日常とのギャップが不思議なくらい、演奏中の不穏オーラはすさまじかったです(いい意味です)。

美しい世界だけを見せるのがピアニストじゃない

日常の疲れやストレスを忘れさせてくれる、心の救いのような演奏もありますが、カントロフさんはちょっと違うタイプのピアニストです。美しいものだけでなく、ぎょっとするような色彩を運んでくれる稀有な才能だと思いました。リサイタル後も、彼が「他にどんなレパートリーを弾くのだろう」「普段はどんな口調で喋る人なんだろう」など色んな事が気になって、インタビュー映像なんかも探ってしまいました。あのおどろおどろしい雰囲気、わたしも醸し出してみたいものです。

今回の来日公演で、日本での正式なデビューを飾ったカントロフさん。今後の日本での活動が楽しみですね。

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