たった1つの音で世界に引き込む

音楽のもっとも重要な要素の一つに音質がある。極端な話1音だけでも世界が構築されてしまう魔力が美しい音にはある。

音楽家には大きく3つのタイプがあって、「音質の人」「理論の人」「技術の人」に分けられる。もちろん、バランスの話しなのだがその中でも「美しい音」というものには圧倒的な力があるようだ。

先日、師、大谷環 先生の教室発表会のお手伝いに行った際、増渕利昭 先生の演奏に触れた。最初の一音で「うっわ!なんだこれ!」と一気に世界に引き込まれた。名器アントニオ・マリンから紡ぎ出される音は、ふくよかで合唱のような響きだった。

もう一つ、特筆すべきはギリギリまでタイミングを待って、やや差し込まれながら発音をしている。確実にそこを意図して演奏している事がわかる演奏だった。

これが実現できると音の躍動感が大きく上がる。
やや差し込まれているので音の飛距離も変わる。
呼吸と間が大きく取れるので安定感とドライブ感が心地よい。

「なんか、すげーもん聞いたぞ!」という充実感があった。
後で、増渕先生に聞いたところ、「そうです、そうです、仰る通りです」とニコニコしながら柔らかい表情で話されていた。

非常に収穫が大きかった。
あの感覚を掴めれば大きな飛躍に繋がるのだろう。

ちなみに、私はまだ4小節しかあの感覚は持続できない。(というより1回だけ4小節持続した)
多分あの感覚こそ本当の超絶技巧なのだろう。

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