音楽は文化的な作業で、主に頭脳労働が主な作業だと思っている人は多い。しかし、実際の音楽活動はスポーツと同じかそれ以上の肉体作業なのである。野球で言えばイチロー選手並みのフィジカルコントロールを要求される。
つまり、体の筋繊維1本のコントロールまで求められる場合があるのだ。
一番理想的な演奏の到達点は話すように弾ける、さらに上位概念で言えば楽器に一切触らずに楽器が弾ければ最高だろう。
なぜなら器楽という表現において楽器は必須であり、逆を言えばそれが限界なのである。
現実的な対応としては、極力脱力をして力を極限まで使わないという方向になるだろう。これを力技で解決させる方法は下の下である。それをやればその場はしのげるかもしれないが、確実に音楽家としての寿命は縮まる。
更に言えば、音楽は芸術活動なのでその上、思想や哲学、感情といった人間が生きていくうえで必ず直面するであろう苦難や幸福を音で現わさなければならない。
この作業は現世からの隔離が必要になってくる。この隔離した世界を、限界のある楽器で現世に表現するのが芸術家なのだ。
この矛盾こそが芸術の素晴らしさとだろう。
コメント